「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 ガッツリした朝食は、量はさることながら味も大満足だ。

 エドムンドとフェリペは、朝一番から剣の稽古に励んだおれの為にボリュームのあるメニューにしてくれたのだ。

 当然、大食漢のカヨの為でもある。

 それはともかく、そのエドムンドとフェリペは、第一王子のことで朝食後外出してしまった。

 カヨと二人きりだ。

 ドキドキが止まらない。

 だが、彼女にうつつを抜かしている場合ではない。

 剣の稽古をしなければ。

 まだ記憶が新鮮で体が覚えている内に、稽古をしておきたい。

 何度も繰り返し、体に覚えさせるのである。

 居間のガラス扉から庭に出て行こうとしたとき、カヨに呼び止められた。

 剣を片手にしているおれは、彼女の目にどう映っているのだろうか。彼女は、どうとらえているのだろうか。

 カッコいいだとか頼もしいだとか、思ってくれているのだろうか。
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