「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 そのことで、またカヨを怒らせてしまった。

 ある意味では貴重なその痣を、彼女だったら見たがるかと思った。だから、気を利かせて「見てみないか」と誘った。すると、彼女は激怒した。

 レディの心はわからない。

 どうやら世間一般のレディ同様、「おれの尻」というよりかは「男の尻」を見ることに抵抗があるらしい。前ならともかく、臀部なのにどうして恥ずかしいのだろうか。

 まだほんの子どもの頃、おれたちはいっしょに水浴びをした。あのとき、彼女もおれも真っ裸だった気がする。

 つまり、おたがいの裸を見ているわけだ。

 それなのに、いまさら恥ずかしいだって?

 というか、そんなことを思い出しているとおれまで恥ずかしくなってきた。
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