「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする～手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある？～

「というわけで、きみがいまいるこの隠れ家のことはもちろん、きみが国王になる決定的な『なにか』を持っていて、聖職者を味方につけようとしているということは、すでに宰相の耳に入っている。言い忘れていたが、このバラデス王国では、王族同様聖職者が幅を利かせている。人々は、王族よりも聖職者を敬っている傾向にある。当然、聖職者は宰相とは敵対しているが、さすがの宰相も大司祭相手に迂闊なことが出来ない」

　ヘルマンは、いまさらそんな有益な情報を投げてきた。

　というよりか、このバラデス王国がそこまで神を敬っているとは知らなかった。

　というか、ちょっと待って。

　すごく嫌な予感がするのだけど。