「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 わからないでもないけれど、こんなに手の込んだことをしなくても、彼らが荒っぽい連中を雇って宰相を消すなり失脚させるなりすればよかったのに。あるいは、聖職者たちを抱き込むか。

 クストディオを巻き込む必要なんてなかった。

 もしかして、国王暗殺を知ったクストディオが本気で乗り込んでくるとでも思っていたのかしら?

「暗殺された国王の血を継いでいる。おれにも権利があるはずだ」

 とかなんとか主張して。

 クストディオにそんな余裕があるはずがないのに。

 ヘルマンとアルマンドの真意や意図はともかく、いずれにせよ宰相の手の者の襲撃に備えておいた方が無難である。

 というわけで、すでに完璧に備えている。
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