「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
「カヨ、心配するな」
わたしの手から彼の手が離れた瞬間、不安に襲われた。が、それも一瞬だった。
なぜなら、彼の手がわたしの肩に触れ、それをつかんだからである。片方の手だけではない。もう片方、つまり両方の手がわたしの肩をつかみ、そのまま抱き寄せられた。
暗闇でよかった。こんな顔は見られたくない。
不安と驚きにまみれた顔なんて、他人に見せられるものではないから。
そんなことを考えている間に、わたしは彼の胸におさまっていた。
彼の胸は、見た目よりずっとがっしりしている。
これもまた手と同じく分厚くて大きい。なにより、あたたかい。
わたしの手から彼の手が離れた瞬間、不安に襲われた。が、それも一瞬だった。
なぜなら、彼の手がわたしの肩に触れ、それをつかんだからである。片方の手だけではない。もう片方、つまり両方の手がわたしの肩をつかみ、そのまま抱き寄せられた。
暗闇でよかった。こんな顔は見られたくない。
不安と驚きにまみれた顔なんて、他人に見せられるものではないから。
そんなことを考えている間に、わたしは彼の胸におさまっていた。
彼の胸は、見た目よりずっとがっしりしている。
これもまた手と同じく分厚くて大きい。なにより、あたたかい。