「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 バラデス王国の宰相イグナシオ・オルティスが殺された。

 そういう噂が王宮内でささやかれている。

 その数日前、亡き国王とアルファーロ帝国の皇女の血をひく王子が死んだという噂もささやかれていた。

 この二つの噂は、王宮内のだれもがきいたわけではない。ほんとうにわずかな人しかきいていないはずである。

 この日、わたしは王宮に赴いた。

 クストディオのお母様が遺していた亡き国王の遺書を携えて。

 だけど、そう簡単に王宮に入れるわけがない。

 が、わたしには外交官としての証明書がある。

 アルファーロ帝国の外交官である旨の証明書を入手したのだ。

 経路?

 そんなやぼったいことを説明するつもりはない。
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