「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
(そうそう。あのクズ、いまはかなりヤバい状況をむかえているのだったわね)

 ヘルマンの情報によると、皇太子という立場がかなり悪くなっているとか。

(わたしにはもうまったく関係がない)

 ガラス扉の向こうに広がる景色をボーッと見つつ、ついそんな過去を思い出しては溜飲を下げる。

「カヨ様」

 長椅子のうしろに立っているエドムンドに呼ばれ、ハッとした。
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