「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 カヨと二人、地下室で夜を明かしている。

 彼女は、ずいぶんと居心地が悪そうだ。

 おれと二人きりということが、彼女にストレスを与えているに違いない。はやい話が、彼女はこんな狭い空間でおれと二人きりなのが嫌なわけだ。

 とはいえ、どうすることも出来ない。

 だから地下室に放置されている本を読むふりをし、出来るだけ彼女の邪魔にならないようにしている。

 だが、この二人きりのときに伝えたいことがある。

 というよりか、尋ねたいことがある。

 ずばり、気になる男はいるのか?

 いいや。それではわかりにくいか? ずばりではない気がする。

 では、好きな男はいるのか?

 いっそ彼女にとどめをさしてもらおう。

 彼女から男の名をきけば、あきらめがつく。
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