「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 ダメだ。あきらめがつくわけはない。おれの彼女への想いは、昨日や今日に始まったわけではない。

 それこそ裸の付き合いが許されるような、子どものときからのことだ。

 そう簡単にあきらめられるわけはない。

 だが、知っておかなければならない。しかし、知るのが怖い気もする。

 そんな優柔不断な気持ちだから、かなり挙動不審になってしまった。

 口を開きかけては躊躇する。

 それを何度か繰り返すうちに、ついに襲撃が開始された。

 情けないことに、結局尋ねられなかった。
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