「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 エドムンドとフェリペの腕は確かだった。

 いいや。確かだなどとはなまやさしい。

 想像をはるかにうわまわる腕だった。

 襲撃者は、十名以上いた。実際のところは、二十名近くいたかもしれない。どれもプロの暗殺者だった。

 彼らからそれをきき、宰相の本気度を知った。

 結局のところ、その連中はエドムンドとフェリペに撃退されてしまったが。

 ほとんどが逃げた。というよりか、わざと逃がした。

 こういう暗殺者は、側に置いておかない方がいい。懐柔しようとしてもムダだそうだ。とはいえ、暗殺者たちは引き際をわきまえているし、逃げると決めたらあっという間に消えてしまう。ケガをした二名をほったらかしにし、煙のごとく消えたという。

 エドムンドとフェリペは、追わなかった。深入りすれば返り討ちにあうことを、彼ら自身よくわかっているからだ。
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