「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
「ちょっと待って。わたしを妻にですって? そして、わたしの才覚を利用するですって? わたし、国賊なのよね? 宰相と国王候補を殺した大悪党なのよね? そんなわたしを、どうしたら妻に出来るわけ?」

 シンプルな質問である。

 だってそうでしょう?

 いくら王子でも、そんな大悪党を妻に迎えるだなんてそう簡単に出来るわけがない。

「ああ、それは簡単だ。濡れ衣だ。厳粛なる調査の結果、きみはハメられただけでなにもしていない。というわけだ」
「だったら、ヘルマン。わたしをハメた人は? 黒幕はだれにするわけ?」
「そうだな。ベネディクト、つまり、第二王子は? 後ろ盾の宰相がいなくなった以上、あいつになす術はない。あいつ自身はなにも出来ないのだから」
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