「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
「ベネディクトが気の毒だわ。でも、宰相ってほんとうに死んだのね」
「ああ、間違いない。潜入させている飼い犬によると、侵入者によって殺されたらしい。あれだけの数の私兵を配置していて侵入された挙句に殺されるとはな」

 アルマンドは、笑うところではないのに笑った。

「それにしても、ここはどこ?」

 室内を見まわした。

「さっきも言ったけど、よく三人だけでわたしに会いに来たわよね。それに、三人の王子みずからわたしを尋問するというのも無理があるわよ」
「そこはどうにでもなる。ここは、改築する前の使用人たちの寮棟だ。そして、見張りはわたしたちの味方だ」

 自信たっぷり言いきったヘルマンの言う通り、体裁はどうとでも整えられるのでしょう。

 なにもかもがゆるゆるみたいだから。
< 391 / 426 >

この作品をシェア

pagetop