「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 王子たちは中途半端だ。なにもかも。詰めも甘すぎる。

 おれ以上に世間知らずな彼らは、すべてにおいて穴だらけだった。

 宰相のスパイは、王宮内のいたるところにいるらしい。王子たちのお付きにもいる。それこそ、親身になって接している侍女でさえ、宰相のスパイだというから驚きだ。

 そのスパイたちが流した噂は、すぐに効果を発揮した。

 外交官のふりをして乗り込んだカヨは捕まり、閉じこめられた。王宮勤めの使用人たちの改築前の宿舎棟に。

 エドムンドとフェリペは、王宮内の地下にある牢に監禁されたが、宰相がすぐに解放してくれた。

 そのタイミングで、スパイのひとりから情報が入った。

 王子三人が宿舎棟に向かったという。

 カヨのもとに向ったのだ。

 おれたちもすぐに向かった。

 宿舎棟には見張りの兵たちがいたが、エドムンドとフェリペがあっという間にのしてしまった。

 そうして、おれたちはなんの困難もなくカヨと王子たちがいる部屋の前に立つことが出来た。
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