「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 そして、室内で交わされている会話をきいた。

 真実を、である。

 そのあと、チャンスが巡ってきた。おれにとって、大チャンスだ。

 じつは、チャンスだったと思ったのは事が終わってからのこと。そのときにはそんなこと思う暇も余裕もなかった。

 室内のやり取りから、カヨが危ないと判断した。

 そのときには、傾きかけている部屋の扉を蹴り開け、室内に踊りこんでいた。

 そして、壁際に追い詰められている彼女の前に立ちはだかっていた。

 彼女を追い詰めているのは、青白い顔の青年だった。

 気がつけば、彼を殴り飛ばしていた。

 そして、彼女を抱き寄せ、おもいっきり抱きしめていた。
< 412 / 426 >

この作品をシェア

pagetop