「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 宰相がいいカッコをしているのを、背中できいた。が、おれにはカヨがいれば充分だ。彼女が無事でさえあれば、だれがいいカッコをしようがどうでもいい。

 エドムンドとフェリペもやってきた。

 その瞬間、カヨが泣き出した。不安から解放され、緊張の糸が切れたのだろ。

 彼女のそんなはかない姿を見たことのなかったおれは、胸がキュンキュンしすぎて失神するところだった。

 よくぞ持ち堪えたものだ。

 数年経ってからでも、このときのことを思い返すと自分やわ褒めてしまう。

 急速に展開した事態は、あっけなく幕を閉じた。
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