「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 だからこそ、わざと産まれたばかりのクストディオを国王の嗣子にするよう迫った。そして、その証拠の遺言書を書かせた。

 ほんとうは、そのようなつもりはなかった。

 母子でバラデス王国とは関係なく、静かに暮らしたかったのである。

 遺言書が隠れ家に遺されていたのは、わざとだったのかもしれない。

 遺言書は、ただ書かせただけである。泣く泣く祖国に帰らねばならない、という演出の道具にすぎない。そのようなものを持っていれば、かならずや禍根を残す。だからわざとあの隠れ家に隠して自さんさなかったのかもり

 同時に、日記も持参しなかった。公用語ではなくアルファーロ帝国の古語で記されているものの、解読されれば真実があかるみにでてしまう。そう危惧したに違いない。

 彼女は、まだすごいところがある。
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