「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
「カヨ様、つぎはどのような情報を集めてきましょうか? どのような情報もあっという間に集めてまいります」
 
 エドムンドは、ティーポットからカップにお茶を注いでくれる。

 例のバラ園のローズティーね。ローズの香りが鼻腔をくすぐる。

「カヨ様。カヨ様の大好きなチョコチップクッキーです。宮殿の厨房を借りて焼きました」

 フェリペは、山盛りのクッキー皿を顔の前にひらひらさせている。

 ほのかに甘い香りもまた、鼻腔に侵入してきてお腹の虫を刺激してくれる。

 フェリペの可愛らしい顔を見、視覚と嗅覚同時に癒される。

(わが人生に悔いなし)

 クズ男に婚約破棄されてほんとうによかった。

 わたしの人生、こんなに面白くていいのかしら?

「世紀の悪女」と怖れられるわたしだけど、しあわせだからいいわよね。


                                      (了)
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