「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 薄暗い中、最初はボーッとした黒い塊だったけれど、すぐに人の形へとかわった。

 なぜかわたしは寝台の上にいて、わたしからすこし距離を置き、クストディオが横になって誘惑的な寝息を立てているのである。

「な、なんてことなの?」

 事態を把握しながら上半身を起こしていた。というか、反射的に飛び起きていた。

 そして、枕をつかむと、それをクストディオに向けて力いっぱい叩きつけていた。

「グワッ」

 クストディオは、踏みつけられたカエルのような悲鳴をあげながら飛び起きた。
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