「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
「明け方までずいぶんと騒がしかったな」

 ヘルマンのニヤニヤ笑いを見た瞬間、彼がおおいなる誤解をしているということより、シンプルにムカついた。

 彼の部屋は、同じ二階に違いない。よくわからないけれど。だけど、その二階の自分の部屋で、一晩中聞き耳を立てていたのだと思うとゾッとする。

 内心はともかく、ポーカーフェイスを保ちつつスクランブルエッグやカリカリベーコンを口に入れ続けた。

 ヘルマンの脳内で、クストディオとわたしがあーんなことやこーんなことをしているシーンが展開されているのだと思うと冷静ではいられなかった。

 よりにもよってクストディオとだなんて……。
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