「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 馬車の座席は、対面ではない。その上広くない。その為、クストディオとほぼぴったりくっついて座っている。

 それにしても気まずい。

 明け方、彼を散々枕でぶってしまった。

 冷静に考えれば、そういう面では真面目な彼がわたしの寝込みを襲うなどということはないはずだった。そもそも、彼はわたしを嫌っている。嫌っている上にレディと認識していない。

 彼は、ことあるごとにいわれなき言葉を投げつけてくる。
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