「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 エドムンドとフェリペが料理が出来るとは知らなかった。ヘルマンの屋敷で食べた料理も、彼らが作っていたとか。

 今夜も食堂の長テーブルには野菜たっぷりのシチュー、魚の酢漬け、野菜のピクルス、ミートパイ、道中で購入した美味しいパンが並んでいる。

 てっきり街に行って購入してきたのかと思っていた。ヘルマンの屋敷でも、近くの町で購入したのだと思い込んでいた。

 が、違うらしい。

「魚の酢漬けやピクルスは、漬けてあるものを持って来ました。あとは、街で材料を購入して作りました。パンは、今日購入した物を食って下さい。明日の朝、あらためて焼きますので」
「すごいわね。諜報員って料理まで万能なのね」

 エドムンドの説明に、ムダに感心してしまった。言ってから、気がついた。
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