「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 エドムンドとフェリペは、クッキーまで焼いてくれていた。

 完璧すぎる。

 是非とも味方にしたい。

 食堂から居間に向いながら、あらためて心に誓った。

「とっても美味しい。食事もだけど、クッキーも最高だわ。しかも、チョコチップにジンジャーにレーズンにプレーンと、種類も豊富だし。やはり、結婚するなら美味しいものを作って食べさせてくれる男性じゃなきゃ、よね?」

 三個目に口に放り込んだのは、プレーンクッキーだった。
 ほどよい甘さだから、いくつ食べても太らない気がする。

 もちろん、そんな考えは希望的観測だし、前向きすぎるけれど。
< 86 / 426 >

この作品をシェア

pagetop