「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
「まわりくどいこととか探り合うのって、いまここで必要かしら? クストがバラデス王国の国王になるとかならないとか、そんな胡散臭い話はともかく、せっかくここまでやって来たんですもの。せめてこの王都で彼の名を知らしめるくらいはしたいの。だけど、わたしたちにはなんの伝手もないし、知り合いすらいない。だったら、いまこうして同じ屋根の下にいるあなたたちに頼るしかない。だけど、あなたたちはヘルマンに雇われるか仕えていて、わたしたちを監視している。そうよね?」

 尋ねると、エドムンドは驚くほど素直に頷いた。
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