「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
「ほら、カヨ。きみの提案があまりにもバカげているから、エドムンドは笑い止まらないらしい」
「うるさいわね、クスト。バカなことを言うのは、いまに始まったことじゃないわ」
「まっ、そうだな。元婚約者にバカなことを言って婚約破棄されたのだし。まだ記憶にあたらしいよ」
「ちょっと、クスト。あれは、バカなことではないわ。事実よ。それを元婚約者のおバカが捻じ曲げただけ。それに、あなただって元婚約者に婚約破棄されたじゃない。もっとも、あなたはおバカなことを言わなさすぎたからだけど。沈黙しすぎもよくない、ということね」
「チェッ!」
 
 こういうのを傷のなめ合いっていうのかしら?

 いいえ。ちょっとしたハプニングよね。

 クストディオとわたしは、婚約破棄されて心も体も健康的になっているし。
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