天使が消えた跡は
第4章 本当に現れた!
一直線に子犬だったものの元へ走り出す薫。
うねり狂った触手が薫の手足を次々と切り裂く。
「―――痛ぅ……!」
並外れた運動神経を持っている薫だが、さすがにすべてのミミズもどきを避けて走り続けるわけではなかった。
顔、腕、足。複数個所にわたって切り傷が作られてゆく。
徐々にスピードを増しながら悪魔の式神とでもいうのだろうか、それへ向かって近付いていく。
近くへ行けば行くほどその危険さが増してゆくのを感じながら。
握ったナイフの許容範囲へ入ったその時の小さな隙間を薫は見逃さなかった。
――――――――断……!
「――――――――――――――――……!!!」
耳が、痛い!
この世のどこでも聞いたことのない音が響き渡る。強大な遠吠えのようにも思えた。
薫はすぐに光のナイフを消して空へ飛び立ち、両耳を押さえた。
薄目を開けて確認をするとその断たれたモノがどろどろと溶けるように跡形もなく消えてゆく。
「……倒せた……」
ほっとしている時間もつかの間。体中が痛み出す。倒すことだけに集中していたため、思っていたよりも何か所も傷をつけられていた。
黒人の彼女から少し離れたところに降り立つと、ルーが元の形に戻り、薫の頭の上に上る。
「ふぅ……」
ひとときの安らぎを自分の体に与えようと思っていた矢先、いつの間にか集まっていたやじ馬たちが騒ぎ出した。
「薫ちゃん大丈夫?」
「血が出てるよ!」
「俺たちの薫ちゃんになんてことしてくれたんだ!?」
構っていられるだけの気持ちの余裕がない。ふと顔を上げると例の彼女はもうどこかへ行ってしまったのか、姿が見えなくなっていた。
「保健室行こうよ保健室。ほら、連れて行くから」
そう声を掛けてきたのはクラスメイトだった。素直に頼ることにして肩を貸してもらう。
これでやじ馬から逃げられると思ったのもつかの間、今度はマスコミたちが大きな音で嗅ぎつけたのか走り寄ってきた。
これでは体がいくらあっても足りない。保健室は諦めて、ひとまず近い自分の部屋まで運んでもらうことにした。
うねり狂った触手が薫の手足を次々と切り裂く。
「―――痛ぅ……!」
並外れた運動神経を持っている薫だが、さすがにすべてのミミズもどきを避けて走り続けるわけではなかった。
顔、腕、足。複数個所にわたって切り傷が作られてゆく。
徐々にスピードを増しながら悪魔の式神とでもいうのだろうか、それへ向かって近付いていく。
近くへ行けば行くほどその危険さが増してゆくのを感じながら。
握ったナイフの許容範囲へ入ったその時の小さな隙間を薫は見逃さなかった。
――――――――断……!
「――――――――――――――――……!!!」
耳が、痛い!
この世のどこでも聞いたことのない音が響き渡る。強大な遠吠えのようにも思えた。
薫はすぐに光のナイフを消して空へ飛び立ち、両耳を押さえた。
薄目を開けて確認をするとその断たれたモノがどろどろと溶けるように跡形もなく消えてゆく。
「……倒せた……」
ほっとしている時間もつかの間。体中が痛み出す。倒すことだけに集中していたため、思っていたよりも何か所も傷をつけられていた。
黒人の彼女から少し離れたところに降り立つと、ルーが元の形に戻り、薫の頭の上に上る。
「ふぅ……」
ひとときの安らぎを自分の体に与えようと思っていた矢先、いつの間にか集まっていたやじ馬たちが騒ぎ出した。
「薫ちゃん大丈夫?」
「血が出てるよ!」
「俺たちの薫ちゃんになんてことしてくれたんだ!?」
構っていられるだけの気持ちの余裕がない。ふと顔を上げると例の彼女はもうどこかへ行ってしまったのか、姿が見えなくなっていた。
「保健室行こうよ保健室。ほら、連れて行くから」
そう声を掛けてきたのはクラスメイトだった。素直に頼ることにして肩を貸してもらう。
これでやじ馬から逃げられると思ったのもつかの間、今度はマスコミたちが大きな音で嗅ぎつけたのか走り寄ってきた。
これでは体がいくらあっても足りない。保健室は諦めて、ひとまず近い自分の部屋まで運んでもらうことにした。