天使が消えた跡は
第6章 新たな敵
自室に入った薫の視界に入ってきたのは、ベッドで気持ちよさそうに眠るルークの姿。
こちらは必死に戦っていたと言うのに、暢気なもんだ。少しだけ機嫌が悪くなる。
「ちょっとルーク……」
左腕からはぽたぽたと少しずつ血が流れてきている。失血死するほどの量ではないが、流石に体調も悪くなってきた。
「えっ……? その腕……」
勢いよく起き上がったルークはゆっくりと薫の左腕に両手を近づけた。
「ちょっとちょっと、これでも結構痛いんだから触らないでよ、保険医さんを呼びに行きたいんだから……」
焦る薫をまったく無視し、ルークは両手を薫の腕にかざすようにして固まったままだ。
「あれ?」
薫の不安や痛みと裏腹に、気が付けば左腕の傷は全て治っていた。
不思議そうに自分の腕を動かしながら眺める薫。
「え、なんか不気味なくらい綺麗に治ってるんだけど、どういうこと?」
「一応治しておいたよ。でも出血した分は取り戻せないから、あまりはしゃぐと貧血起こすからね。
もう貧血になってるかもしれないけど」
そう言って再びベッドに横になるルーク。
「ちょっと、今のは何? やっぱり何も教えてくれないの? 説明くらいしてくれてもいいんじゃないの?」
そう言ってベッドの横に座り込む薫。ルーは元に戻り頭の上に鎮座した。
『ちょっと、聞いてるの?』とルークの身体を揺さぶりながら話しかける渚に、寝ぼけているのだろうか弱々しい声で返事が返ってくる。
「本体は攻撃する力があっても、今の状態だったらこれくらいしか出来ないんだよ……」
そして完全に眠りに入ってしまった。
本体……?
様々な言葉が頭の中を走り回る。
『ルークと名前を決めた時に驚いていた』『『彼女』の名前が『サラク』であると言うことを知っていた』『可愛い女の子に成長したねという言葉』そして新たに『本体』があるということ。
何かがつながりそうで、でもなぜかあまり深く考えたくなかった。
彼はいったい何者なの? なぜこんなに長い時間薫の元に居座るのか。
何度も何度も同じ疑問を頭の中で考える。
しかし、結局何の答えも出せないまま薫もベッドに背中を持たれながら静かな眠りについた。
こちらは必死に戦っていたと言うのに、暢気なもんだ。少しだけ機嫌が悪くなる。
「ちょっとルーク……」
左腕からはぽたぽたと少しずつ血が流れてきている。失血死するほどの量ではないが、流石に体調も悪くなってきた。
「えっ……? その腕……」
勢いよく起き上がったルークはゆっくりと薫の左腕に両手を近づけた。
「ちょっとちょっと、これでも結構痛いんだから触らないでよ、保険医さんを呼びに行きたいんだから……」
焦る薫をまったく無視し、ルークは両手を薫の腕にかざすようにして固まったままだ。
「あれ?」
薫の不安や痛みと裏腹に、気が付けば左腕の傷は全て治っていた。
不思議そうに自分の腕を動かしながら眺める薫。
「え、なんか不気味なくらい綺麗に治ってるんだけど、どういうこと?」
「一応治しておいたよ。でも出血した分は取り戻せないから、あまりはしゃぐと貧血起こすからね。
もう貧血になってるかもしれないけど」
そう言って再びベッドに横になるルーク。
「ちょっと、今のは何? やっぱり何も教えてくれないの? 説明くらいしてくれてもいいんじゃないの?」
そう言ってベッドの横に座り込む薫。ルーは元に戻り頭の上に鎮座した。
『ちょっと、聞いてるの?』とルークの身体を揺さぶりながら話しかける渚に、寝ぼけているのだろうか弱々しい声で返事が返ってくる。
「本体は攻撃する力があっても、今の状態だったらこれくらいしか出来ないんだよ……」
そして完全に眠りに入ってしまった。
本体……?
様々な言葉が頭の中を走り回る。
『ルークと名前を決めた時に驚いていた』『『彼女』の名前が『サラク』であると言うことを知っていた』『可愛い女の子に成長したねという言葉』そして新たに『本体』があるということ。
何かがつながりそうで、でもなぜかあまり深く考えたくなかった。
彼はいったい何者なの? なぜこんなに長い時間薫の元に居座るのか。
何度も何度も同じ疑問を頭の中で考える。
しかし、結局何の答えも出せないまま薫もベッドに背中を持たれながら静かな眠りについた。