【コミカライズ決定】愛をささやかないで~婚約解消された可愛げのない事務官は、強面騎士団長に抱かれます
「そうね。それはきちんと説明しなかった私たちも悪かったけれど。あなたが団長に魔力を受け渡そうとしたことにも驚きだわ」
「団長が転移するとおっしゃっていて。よくお父様が転移する前にもそうしていたから」
 なぜか、フリージアが微笑んでいる。
「うん、そうね。あなたは団長を想ってやったことよね」
「私は団長の補佐事務官ですから」
「あなたが、今の仕事に責任をもって取り組んでいるのはわかるわ」
 そこで彼女は、エミーリアから視線を逸らす。
「だけど、魔力の受け渡しも家族以外とやってはダメよ」
「団長は?」
「あなたの力を知られてしまったから仕方ないけれど、それはお父様に相談するわ。でもね、魔力交感なんてもってのほかだからね」
 ピシャリと言われてしまえば、先ほどの出来事はなおさらフリージアには伝えられる内容ではない。
 だが、ローランは完全に魔力枯渇の状態だった。あの場で魔力交感を行わなければ、彼は命を失っていただろう。だから、必要な処置だった。それでも、魔力交感の特異性を考えれば、彼に謝罪すべきであると思っていた。

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