【コミカライズ決定】愛をささやかないで~婚約解消された可愛げのない事務官は、強面騎士団長に抱かれます
「君のおかげで助かったんだ。ありがとう」
まさか、礼を言われるとは思ってもいなかった。
こんなとき、どのような顔をしてどのような言葉を口にしたらいいかもわからない。
「私は団長の補佐事務官ですので」
それがさも義務であるかのように答えた。ローランの顔が和らいだ。
「悪いが、いつものようにお茶を頼む。それから朝食も。君が言ったとおり、昨日はここに泊った。俺は昼過ぎから会議だ。それまでに君に調査を頼んだ例の件も確認したい」
「承知しました」
いつもと変わらぬ口調で答えると、お茶の準備をするために隣室へと向かおうとした。
「エミーリア事務官」
呼び止められる。
「はい」
やはりローランの声は心地よい。低音の声が胸に響く。
「魔力交感の件は、上に報告しなければならない案件だ」
「はい」
その言葉の意味を理解する。ローランは絶対に昨日の件を報告する。誰にどこまで知られてしまうのかはわからないが、心がざわめき立つ。
「悪いようにはしない。全部、俺の力不足だ」
「ですが、あれは私が勝手に……」
彼女の言葉の続きはローランによって遮られる。
「そのおかげで俺は助かった。だから君に迷惑をかけるつもりはない。俺を信じなさい」
その言葉に力強く頷いた。
まさか、礼を言われるとは思ってもいなかった。
こんなとき、どのような顔をしてどのような言葉を口にしたらいいかもわからない。
「私は団長の補佐事務官ですので」
それがさも義務であるかのように答えた。ローランの顔が和らいだ。
「悪いが、いつものようにお茶を頼む。それから朝食も。君が言ったとおり、昨日はここに泊った。俺は昼過ぎから会議だ。それまでに君に調査を頼んだ例の件も確認したい」
「承知しました」
いつもと変わらぬ口調で答えると、お茶の準備をするために隣室へと向かおうとした。
「エミーリア事務官」
呼び止められる。
「はい」
やはりローランの声は心地よい。低音の声が胸に響く。
「魔力交感の件は、上に報告しなければならない案件だ」
「はい」
その言葉の意味を理解する。ローランは絶対に昨日の件を報告する。誰にどこまで知られてしまうのかはわからないが、心がざわめき立つ。
「悪いようにはしない。全部、俺の力不足だ」
「ですが、あれは私が勝手に……」
彼女の言葉の続きはローランによって遮られる。
「そのおかげで俺は助かった。だから君に迷惑をかけるつもりはない。俺を信じなさい」
その言葉に力強く頷いた。