【コミカライズ決定】愛をささやかないで～婚約解消された可愛げのない事務官は、強面騎士団長に抱かれます

　エミーリアが騎士団入団試験を受けた時、身長が規定を満たしていないというのは大きな話題になった。ほんの少しだけ足りていない。
　前団長のヴィンセントの娘であり、騎士団に所属するアルフォンスとフリージアの妹であれば、是非とも騎士団に欲しい逸材である。
　そのため、特例を認めるべきという声もあがった。どちらかといえば、ローランもその考えに気持ちが揺らいだ。それでも自分の立場を考えれば、どこかでの線引きは必要であり、その線引きに特例を認めるものではない。それに強く意見をしたのは、国王でもあった。彼は、ローランと同じ考えであったため、ほっと胸を撫でおろした。
　結果、彼女は不合格となった。
　その結果に、誰よりも満足していたのは国王だ。
『彼女を闇にする』
　その場にいたのはローランとニコラース、そして宰相のみ。
『では、事務官として私がもらい受けます。いつもの通り、団長補佐事務官という肩書でよろしいですね？』
　ニコラースは、笑みを浮かべずに淡々と述べたが、どうやらローランに意見を求めているようだった。
『闇』候補として認められた者たちは、最初の試練としてローランの補佐事務官となり彼の下で仕事をこなす必要があった。身体も大きく、顔も怖いローランであるため、彼の下で仕事をこなせないような人物であれば、『闇』には向いていない。それに、ローランは仕事に厳しい。それは自分にも他人にも。