【コミカライズ決定】愛をささやかないで~婚約解消された可愛げのない事務官は、強面騎士団長に抱かれます
「団長は、もう少しお茶を飲まれますか? さきほどは失態をお見せしてしまい、申し訳ありません」
「では、お代わりを頼む」
 ローランはエミーリアが淹れるお茶が好きだ。
「はい」
 しっかりとした足取りで歩く彼女の背を見つめる。
 どうやら、何かがふっきれたようだ。何がきっかけになったのかはわからない。
 となれば、ローラン自身も腹を括らねばならないだろう。
「団長」
 いつの間にかエミーリアは戻ってきていた。
「団長のご都合をお聞きしたいのですが」
「なんのだ?」
「陛下がおっしゃっていた件です」
 ローランは目を細める。
「本気か?」
「はい。私は『闇』として、陛下の手足となります。それが、私に残された道なのです」
 ローランは深く息を吐いた。
< 132 / 246 >

この作品をシェア

pagetop