【コミカライズ決定】愛をささやかないで~婚約解消された可愛げのない事務官は、強面騎士団長に抱かれます
その日、いつもの時間にベルを鳴らしてもエミーリアは現れなかった。わかっていたにもかかわらず、ベルを鳴らしてしまったのは習慣によるもので、慣らしてから「しまった」と思ったのだ。
事務室にいる事務官を呼びつけることもできるのだが、わざわざこの時間にお茶を淹れてもらうためだけに彼らを呼びつけるのも得策ではない。ただでさえ、ローランは彼らによく思われていない。
仕方なく彼は、自分でお茶を淹れるために立ち上がった。
ちょうどそのとき、扉を叩かれた。この叩き方はニコラースではないが、エミーリアでもない。
「誰だ?」
「フリージア・グロセです。妹のことでお話があります」
「入れ」
ゆっくりと扉が開かれ、中を確かめるようにしてフリージアが入ってきた。
「失礼します」
「それで? 話とはなんだ?」
ローランは、意図的に彼女の名を口にしなかった。
「妹、エミーリアですが。本日は体調を崩しまして、お休みをいただきたいと」
「悪いのか?」
「声が掠れて咳込んでいましたが、熱はなさそうなので。少し休めばすぐに治るかと思います。ご迷惑をおかけしまして、申し訳ありません」
事務室にいる事務官を呼びつけることもできるのだが、わざわざこの時間にお茶を淹れてもらうためだけに彼らを呼びつけるのも得策ではない。ただでさえ、ローランは彼らによく思われていない。
仕方なく彼は、自分でお茶を淹れるために立ち上がった。
ちょうどそのとき、扉を叩かれた。この叩き方はニコラースではないが、エミーリアでもない。
「誰だ?」
「フリージア・グロセです。妹のことでお話があります」
「入れ」
ゆっくりと扉が開かれ、中を確かめるようにしてフリージアが入ってきた。
「失礼します」
「それで? 話とはなんだ?」
ローランは、意図的に彼女の名を口にしなかった。
「妹、エミーリアですが。本日は体調を崩しまして、お休みをいただきたいと」
「悪いのか?」
「声が掠れて咳込んでいましたが、熱はなさそうなので。少し休めばすぐに治るかと思います。ご迷惑をおかけしまして、申し訳ありません」