【コミカライズ決定】愛をささやかないで~婚約解消された可愛げのない事務官は、強面騎士団長に抱かれます
「アンは、祭りにいったのかい?」
「はい」
「そうか。アンにも誘ってくれるような男がいたんだな」
まるで小馬鹿にしたような言い方であるが、いちいちそれを気にしていたならエミーリアに娼館での潜入調査など務まらない。
男はエミーリアが隣に座ったのが、不服なのだろう。彼からはイレーヌを求めようとする気持ちがひしひしと伝わってきた。その口からはどれだけイレーヌに貢いだかという自慢話ばかり。
エミーリアは黙って相槌を打ちながらそれを聞いている。ところどころ男を持ち上げるような声をかけると、彼も上機嫌となる。
ふとイレーヌから視線を感じて顔を向けると「その調子よ」と、彼女の顔は言っていた。
とにかくエミーリアは、話の聞き手として徹する。相手が気分よく喋れるように場を盛り上げる。
男たちの笑い声があがり、イレーヌの上品な微笑みが浮かぶ。そこにエミーリアは口元を少しだけ綻ばせる。
そういった些細な歓楽の時間に、似合わない激しい音が聞こえた。
――ドンッ!
「え、なに?」
イレーヌが慌てて立ち上がった。それに釣られて男たちも立ち上がる。エミーリアだけは、音がした方向に黙って視線を向けた。
「はい」
「そうか。アンにも誘ってくれるような男がいたんだな」
まるで小馬鹿にしたような言い方であるが、いちいちそれを気にしていたならエミーリアに娼館での潜入調査など務まらない。
男はエミーリアが隣に座ったのが、不服なのだろう。彼からはイレーヌを求めようとする気持ちがひしひしと伝わってきた。その口からはどれだけイレーヌに貢いだかという自慢話ばかり。
エミーリアは黙って相槌を打ちながらそれを聞いている。ところどころ男を持ち上げるような声をかけると、彼も上機嫌となる。
ふとイレーヌから視線を感じて顔を向けると「その調子よ」と、彼女の顔は言っていた。
とにかくエミーリアは、話の聞き手として徹する。相手が気分よく喋れるように場を盛り上げる。
男たちの笑い声があがり、イレーヌの上品な微笑みが浮かぶ。そこにエミーリアは口元を少しだけ綻ばせる。
そういった些細な歓楽の時間に、似合わない激しい音が聞こえた。
――ドンッ!
「え、なに?」
イレーヌが慌てて立ち上がった。それに釣られて男たちも立ち上がる。エミーリアだけは、音がした方向に黙って視線を向けた。