【コミカライズ決定】愛をささやかないで~婚約解消された可愛げのない事務官は、強面騎士団長に抱かれます
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 マヤンの事件は粗方片づいた。ローランは第五部隊に後処理を任せて、王都ジギルスへと戻ってきた。もちろん、そこにはエミーリアの姿もあった。
 そのエミーリアは今、国王の執務室で、国王とニコラースに事件のあらましについて報告をし終えたところである。
「初任務としては、まあまあの出来ですね」
 今日もニコラースの眼鏡は怪しく光っている。
「ですが、残念ながらあなたは『闇』には不適格です」
「え?」
『闇』の存在も知られずにあの事件を解決させたのだから、不適格と言われるとは思ってもいなかった。
「その表情(かお)です。あの事件以降、あなたは素直になり過ぎた。それだけ感情が顔に出るような人間は、『闇』には向いておりません」
 ニコラースの言葉に、エミーリアは何も言えない。
「ですから、そのままベニシュ団長付きの補佐事務官として、仕事に励みなさい」
 私はこれで、とニコラースは席を立ち、すたすたと歩いて部屋を出て行く。
 エミーリアは彼の背を黙って見送った。今の言葉をどう捉えたらいいのか。
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