【コミカライズ決定】愛をささやかないで~婚約解消された可愛げのない事務官は、強面騎士団長に抱かれます
エピローグ
 婚約が決まってからというもの、エミーリアはローランの屋敷で暮らすようになった。そこで彼女は初めて、ローランがあの国王の弟であると知った。
 エミーリアもそれなりの家柄ではあるが、ローランにはかなわない。
「覚えることがいっぱいあるでしょう」と、母親に背中を押されるようにして、ローランの屋敷へとやってきた。もちろん、それにはヴィンセントが苦い顔をしていたが、ローランは嬉しそうであるし、彼の屋敷にいる者たちも快く受け入れてくれた。
 なによりも、この件を喜んだのが国王であるのには、エミーリアも驚いたものだ。そして、フリージアとアルフォンスも二人の関係を祝福している。
 仕事も私事もローランと共にいるようになったエミーリアだが、仕事中はお互いの立場をわきまえていた。エミーリアは無駄に執務室に立ち入らないし、ローランも必要なときしか資料室には足を運ばない。
 その反動が仕事を終えて帰ってきてから起こるのだ。
 ローランは毎晩のようにエミーリアを求めてくる。エミーリアとしては、求められるのは喜ばしいことなのだが、正直、体力的にきついと思うときもある。
 そこで考えたのが、例の魅了魔法を彼に使うことだった。しかし、それはすぐに見破られてしまう。以前、彼に使ってしまったのが原因である。
 それを知ったローランは、案の定、怒り出した。
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