【コミカライズ決定】愛をささやかないで~婚約解消された可愛げのない事務官は、強面騎士団長に抱かれます
「はい」
 返事をしてみたものの、なんとなく腑に落ちない。
「とにかく君には期待しておりますから」
 何度もその言葉で、誤魔化そうとしている。
 だが反論するのも賢い判断とはいえない。
「承知しました」
 頭を下げた。

◆◆◆◆ ◆◆◆◆

 扉を叩かれたので返事をすると、ニコラースであった。
 ノックの相手が彼女ではないことは、その叩き方でわかっていた。
「ご報告があって参りました」
「そこに座れ」
 ローランはソファ席を顎でしゃくった。
「いえ、こちらで」
 ニコラースはつかつかとローランの執務席のほうまで近づいてきて、彼の目の前に立つ。
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