【コミカライズ決定】愛をささやかないで~婚約解消された可愛げのない事務官は、強面騎士団長に抱かれます
「フェリクス・マッケン事務官は、本日付けで異動となりました」
「それが報告内容か」
「はい。表向きは」
表向きの報告と口にした場合、本当に伝えたい内容は別にある。この事務官長も食えない男だ。
「それで、何が言いたいのだ?」
「エミーリア・グロセはどうですか? 使えそうですか?」
その言葉に、ローランはひくっとこめかみを動かした。やはり、本当に彼が聞きたいのは彼女のことのようだ。
「悪くはない。むしろ、魔法騎士として騎士団に欲しいくらいだ。度胸といい行動力といい……。なによりも感情が読めない」
「ベニシュ団長殿は、ご存知ないのですか?」
わざと含みを持たせた言い方に、少しだけ苛立ちを覚える。
「何がだ?」
口の端を引き攣らせながら、ローランは尋ねた。
「十年くらい前になりますかね。学園裏の魔石炉暴走の事故が起こったのは……」
ニコラースの眼鏡が、何かを反射させてきらりと光った。
「魔石炉暴走の事故」
十年も前となれば、ローランだってまだ二十代になったばかりの頃だ。
「それが報告内容か」
「はい。表向きは」
表向きの報告と口にした場合、本当に伝えたい内容は別にある。この事務官長も食えない男だ。
「それで、何が言いたいのだ?」
「エミーリア・グロセはどうですか? 使えそうですか?」
その言葉に、ローランはひくっとこめかみを動かした。やはり、本当に彼が聞きたいのは彼女のことのようだ。
「悪くはない。むしろ、魔法騎士として騎士団に欲しいくらいだ。度胸といい行動力といい……。なによりも感情が読めない」
「ベニシュ団長殿は、ご存知ないのですか?」
わざと含みを持たせた言い方に、少しだけ苛立ちを覚える。
「何がだ?」
口の端を引き攣らせながら、ローランは尋ねた。
「十年くらい前になりますかね。学園裏の魔石炉暴走の事故が起こったのは……」
ニコラースの眼鏡が、何かを反射させてきらりと光った。
「魔石炉暴走の事故」
十年も前となれば、ローランだってまだ二十代になったばかりの頃だ。