【コミカライズ決定】愛をささやかないで~婚約解消された可愛げのない事務官は、強面騎士団長に抱かれます
だからエミーリアは、ここ半年程アルフォンスに会っていない。手紙は書いているから、婚約が解消されたことも、魔法騎士になれなかったことも知っているはずだ。
以前は国境など人気の少ないところには、魔獣もいたという話も聞いている。魔獣とは魔力を備えた獣のことで、人を襲ってくるのが特徴である。だが、その魔獣も今では話題にあがらない。絶滅したのかどうかさえもわからない。
最後の一振りを終え、エミーリアは木刀を腰紐に挟んだ。そろそろローランがやってくる時間だ。彼は他の騎士よりも早くここに来る。それよりも早くエミーリアが来ていた。
音もなくその場を立ち去り、急いで控えの間へと向かった。
ローラン付きの補佐事務官は、今のところエミーリア一人。増える気配はない。フリージアの話を聞いてから、なおさら増員は期待できない。
だが、基本的にエミーリアは時間を持て余しているため、増員されても余計に暇になるだけだと思っていた。
それに、変に他人がいない方が気も楽でいい。
乾いたタオルで額の汗を押さえながら、今日はどの資料を読むか吟味していた。
自席に座って資料を読む。ベルが鳴ればローランのもとに行く。
本当にそれだけの仕事だ。なぜこの仕事が敬遠されるのか、エミーリアにはわからなかった。
チリチリチリン――。
ベルが鳴った。どうやらローランが執務室にやってきたようだ。この時間に呼ばれるのは、朝のお茶を淹れるためである。
以前は国境など人気の少ないところには、魔獣もいたという話も聞いている。魔獣とは魔力を備えた獣のことで、人を襲ってくるのが特徴である。だが、その魔獣も今では話題にあがらない。絶滅したのかどうかさえもわからない。
最後の一振りを終え、エミーリアは木刀を腰紐に挟んだ。そろそろローランがやってくる時間だ。彼は他の騎士よりも早くここに来る。それよりも早くエミーリアが来ていた。
音もなくその場を立ち去り、急いで控えの間へと向かった。
ローラン付きの補佐事務官は、今のところエミーリア一人。増える気配はない。フリージアの話を聞いてから、なおさら増員は期待できない。
だが、基本的にエミーリアは時間を持て余しているため、増員されても余計に暇になるだけだと思っていた。
それに、変に他人がいない方が気も楽でいい。
乾いたタオルで額の汗を押さえながら、今日はどの資料を読むか吟味していた。
自席に座って資料を読む。ベルが鳴ればローランのもとに行く。
本当にそれだけの仕事だ。なぜこの仕事が敬遠されるのか、エミーリアにはわからなかった。
チリチリチリン――。
ベルが鳴った。どうやらローランが執務室にやってきたようだ。この時間に呼ばれるのは、朝のお茶を淹れるためである。