【コミカライズ決定】愛をささやかないで~婚約解消された可愛げのない事務官は、強面騎士団長に抱かれます
「ありがとうございます、お姉様」
「あなたが団長にいじめられていなくてよかったわ。あなたの団長補佐事務官の話を聞いたときは、事務官長に抗議してやろうかと思ったんだけど、お父様に止められたのよ。エミーが困っているなら別だけれど、本人が何もしていないのに出しゃばるような真似をしてはいけないって」
「ベニシュ団長にはよくしてもらってます」
「そう、よかったわ」
フリージアはエミーリアの襟元を整えた。
「何かあったら、私に言うのよ」
「はい、ありがとうございます」
その言葉を聞いたフリージアは満足そうに微笑むと、手をひらひらと振ってその場を離れた。
エミーリアは右腕にかけていた籠をしっかりと持ち直すと、騎士館へと足を向ける。首にかけられた銀プレートが、先ほどよりも重く感じた。
これが事務官の仕事といえばそうなのだが、一度主に呼ばれると、とにかく歩く。特に騎士館は独立した建物になっているため、どこに行くにしても距離がある。
「遅くなりまして申し訳ありません。朝食をお持ちしました」
「遅くはない。君はすぐにそうやって謝罪する癖を直しなさい」
「はい。申し訳ありません」
「ほら、まただ」
指摘され、はっとする。謝罪を口にするのが、エミーリアも気づかぬうちに癖になっていたようだ。
「あなたが団長にいじめられていなくてよかったわ。あなたの団長補佐事務官の話を聞いたときは、事務官長に抗議してやろうかと思ったんだけど、お父様に止められたのよ。エミーが困っているなら別だけれど、本人が何もしていないのに出しゃばるような真似をしてはいけないって」
「ベニシュ団長にはよくしてもらってます」
「そう、よかったわ」
フリージアはエミーリアの襟元を整えた。
「何かあったら、私に言うのよ」
「はい、ありがとうございます」
その言葉を聞いたフリージアは満足そうに微笑むと、手をひらひらと振ってその場を離れた。
エミーリアは右腕にかけていた籠をしっかりと持ち直すと、騎士館へと足を向ける。首にかけられた銀プレートが、先ほどよりも重く感じた。
これが事務官の仕事といえばそうなのだが、一度主に呼ばれると、とにかく歩く。特に騎士館は独立した建物になっているため、どこに行くにしても距離がある。
「遅くなりまして申し訳ありません。朝食をお持ちしました」
「遅くはない。君はすぐにそうやって謝罪する癖を直しなさい」
「はい。申し訳ありません」
「ほら、まただ」
指摘され、はっとする。謝罪を口にするのが、エミーリアも気づかぬうちに癖になっていたようだ。