【コミカライズ決定】愛をささやかないで~婚約解消された可愛げのない事務官は、強面騎士団長に抱かれます
「まあ、いい。朝食はそこのテーブルに置いてくれ。ところで」
 ローランの目が鋭く細められた。
「俺の銀プレートはどうした? あれは、君が俺の代理で動いている証であると、先ほども説明したはずだが」
「あ、はい。途中、姉に会いまして、目立つ場所につけておかないほうがいいと言われまして」
 エミーリアは服の中に隠していた銀プレートを取り出す。
「こうやって、服の中に隠していました」
「そうか」
 そこで会話は途切れた。
「では、私は控えの間におりますので。何かありましたらベルでお呼びください」
「待て」
 最近、ローランはエミーリアが立ち去ろうとすると、こうやって呼び止める。
「エミーリア事務官。君は朝食を食べたのか?」
「いえ、これからです」
「必要であれば、これを食べろ」
 ローランからの薦めに、エミーリアは目を見開いた。だが、すぐに元に戻す。
「お気持ちだけいただきます。朝食は、家から持ってきておりますので」
 エミーリアが頭を下げると、ローランが眉間に皺を作っていた。どことなく困っているようにも見える。
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