【コミカライズ決定】愛をささやかないで~婚約解消された可愛げのない事務官は、強面騎士団長に抱かれます
エミーリアの兄であるアルフォンスは、第五部隊の副部隊長である。見た目はトラフィムよりも偉そうに見えるが、年は若い。ローランの記憶が正しければ、彼はまだ二十五歳であったはず。部隊長に任命するには、あと三年は様子を見た方がいいだろう。いくら前団長の息子であっても、年が若すぎるのは、他からの反発の要因となりかねない。不安要素は、先に排除しておく必要がある。
トラフィムに案内されるようにして歩いていると、派遣されている騎士たちが頭を下げ、次々と声をかけてくる。それに軽く返事をする。
採掘場は、砦からは歩いて五分。洞窟の入り口には、騎士の詰所と鉱夫たちの休憩所を兼ねた建物がある。
そちらに顔を出すと、事務作業を一手に受けている騎士の姿があった。
「お、お疲れ様です」
すっと立ち上がった彼は、緊張した面持ちでローランに頭を下げてきた。
「中に入らせてもらう。他の者は、中にいるな?」
「は、はいっ」
トラフィムは男になにか目配せをしたようだ。彼は、すっと座ると事務作業に戻る。
「団長。では、ご案内いたします」
洞窟の入り口からは、冷たい風が漏れ出てきた。ここから先は、太陽の光が届かない暗闇となる。そのため、足元を照らすように、小さな魔導灯が等間隔で並べられていた。
「そちらは未踏の場所です。まだ、魔導灯の設置も終わっておりませんので」
ローランが洞窟を訪れるのは、初めてのことではない。それでもトラフィムは、同じ場所を通るたびに、同じ内容を口にする。
トラフィムに案内されるようにして歩いていると、派遣されている騎士たちが頭を下げ、次々と声をかけてくる。それに軽く返事をする。
採掘場は、砦からは歩いて五分。洞窟の入り口には、騎士の詰所と鉱夫たちの休憩所を兼ねた建物がある。
そちらに顔を出すと、事務作業を一手に受けている騎士の姿があった。
「お、お疲れ様です」
すっと立ち上がった彼は、緊張した面持ちでローランに頭を下げてきた。
「中に入らせてもらう。他の者は、中にいるな?」
「は、はいっ」
トラフィムは男になにか目配せをしたようだ。彼は、すっと座ると事務作業に戻る。
「団長。では、ご案内いたします」
洞窟の入り口からは、冷たい風が漏れ出てきた。ここから先は、太陽の光が届かない暗闇となる。そのため、足元を照らすように、小さな魔導灯が等間隔で並べられていた。
「そちらは未踏の場所です。まだ、魔導灯の設置も終わっておりませんので」
ローランが洞窟を訪れるのは、初めてのことではない。それでもトラフィムは、同じ場所を通るたびに、同じ内容を口にする。