【コミカライズ決定】愛をささやかないで~婚約解消された可愛げのない事務官は、強面騎士団長に抱かれます
資料棚の前を行ったり来たりしながら、考えを巡らせる。
そのときガタッと大きな物音が聞こえた。
もちろん隣の部屋からだ。隣の部屋から音が聞こえることなど、滅多にない。それだけ今は、激しい音だったのだ。
エミーリアは執務室の鍵を握りしめ、隣へと向かう。
白い扉を叩くが返事はない。ただ、微かに何かが聞こえる。
扉に手をかけるが、やはり鍵はかけられたまま。
急いで外から鍵を開け、中に入る。
「団長! 大丈夫ですか?」
転移魔法で戻ってきただろうローランは、魔法陣の側にうつ伏せで倒れていた。苦しそうに喚いており、身体を動かそうと両手で這おうとしているが、力が入らないのだろう。
エミーリアは彼の側に駆けつけ、膝をついた。
「団長……。もしかして、魔力枯渇ですか?」
転移魔法による魔力消費量は激しい。転移魔法を使ったあとは、一日寝込む者もいるほど。それでも枯渇状態にはならず、枯渇の一歩手前という表現が正しい。
だが、ローランはどこからどう見ても魔力枯渇の症状であった。立ち上がれないというのであればなおのこと。
「団長、転移魔法の前にも魔法を使われたのではないですか?」
がくっと身体を支えていた彼の手が崩れ、顔が床についた。
そのときガタッと大きな物音が聞こえた。
もちろん隣の部屋からだ。隣の部屋から音が聞こえることなど、滅多にない。それだけ今は、激しい音だったのだ。
エミーリアは執務室の鍵を握りしめ、隣へと向かう。
白い扉を叩くが返事はない。ただ、微かに何かが聞こえる。
扉に手をかけるが、やはり鍵はかけられたまま。
急いで外から鍵を開け、中に入る。
「団長! 大丈夫ですか?」
転移魔法で戻ってきただろうローランは、魔法陣の側にうつ伏せで倒れていた。苦しそうに喚いており、身体を動かそうと両手で這おうとしているが、力が入らないのだろう。
エミーリアは彼の側に駆けつけ、膝をついた。
「団長……。もしかして、魔力枯渇ですか?」
転移魔法による魔力消費量は激しい。転移魔法を使ったあとは、一日寝込む者もいるほど。それでも枯渇状態にはならず、枯渇の一歩手前という表現が正しい。
だが、ローランはどこからどう見ても魔力枯渇の症状であった。立ち上がれないというのであればなおのこと。
「団長、転移魔法の前にも魔法を使われたのではないですか?」
がくっと身体を支えていた彼の手が崩れ、顔が床についた。