【コミカライズ決定】愛をささやかないで～婚約解消された可愛げのない事務官は、強面騎士団長に抱かれます

　王立ジギルス学園はこのザーバラン国が管理する学園である。王都ジギルスにあるため、その名がつけられた。
　優秀な人材を集め、国益になるような人材を育てあげる学園であるため、卒業後は国に従事する職に就く。そういった職に就けないものは卒業できない。むしろ退学させられる。
　ザーバラン国は、魔石がとれる採掘場を所有しているが、その採掘権をめぐって近隣諸国とのにらみ合いが続いていた。表向きは、互いの尊厳を損なわないような関係が続いているように見える。
　しかし、採掘場では揉め事が起こり、採掘中の魔石が盗まれることも多々あった。
　そのたびに、王立騎士団の人間が派遣され、事件の調査や再発防止策に取り組むのだが、どうやら犯人はザーバラン国の者ではないと、どことなく噂されていた。その犯人が、国として動いているのか、何かの組織として動いているのかはわからない。ただ、魔石は狙われる対象となっている。
　そういったこともあり、他国へのけん制、採掘場の防犯、それ以外の国事など、国が行うべきものは多岐にわたる。だからこそ、優秀な人材は喉から手が出るほど欲しい。
　選ばれし者しか通えない王立ジギルス学園であるが、この学園の卒業を間近に控えているのが、ここにいるエミーリア・グロセである。
　彼女は由緒ある魔法騎士の家系であるグロセ家の娘。兄弟は兄と姉が一人ずつおり、どちらも魔法騎士として王立魔法騎士団に所属している。
　父親は魔法騎士団の団長を務めあげた男であり、今は引退して魔法騎士団の指南役という立場にある。母親も元魔法騎士であり、第一子のアルフォンスを授かったときに退団したと聞いている。