【コミカライズ決定】愛をささやかないで~婚約解消された可愛げのない事務官は、強面騎士団長に抱かれます
(え……っ?)
 知らぬ間に、エミーリアの背には彼の手が回っていた。
 エミーリアの舌は押し戻され、今度は彼のほうから押し入ってきた。
 驚いたエミーリアの舌は奥に逃げる。彼は頬の内側をなぞってから、隠れていた舌を捕らえる。
 激しくて、息ができない。
 わずかな隙間から呼吸を求めようとすれば、鼻をぬけるような甘い声が漏れる。
 息が苦しくて顔を背けようとすると、それを阻止するかのように後頭部に手を回された。
「……あ」
 次第に呼吸は乱れていき、頭がぼんやりとしてくるが、身体は熱を帯び始めた。
 これが魔力交感と呼ばれるものなのか。
 両頬をローランの手に包まれている。そのまま、すっと彼の顔が離れた。
「はっ……、はっ……、はっ……」
 エミーリアは短く息を吐いていた。
「エミーリア……」
 鋭い目つきでありながらもどこか穏やかであった彼の眼だが、今は爛々と獲物を捕らえる獣のように輝いている。
 再び唇を重ねる。
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