ヴァンパイアな彼等
先輩のお母さんと妹が亡くなった…?
「父さん、母さんのこと大好きだったからね〜。だけど、芽亜里たちを連れて来て再婚するって言い出した時は呆れたよ。いくら顔が似てるからって…彼女等は代わりになんてならないのに」
そう吐き捨てた凪の苦しそうな表情を見て、私はギュッと胸が締め付けられる。
「それに芽亜里も急に見知らぬ父と兄が出来て、しかもそれが原因でイジメられてるなんて…可愛そうだよね」
彼の皮肉ったようなその言葉にハッとした。
「…知ってて」
「流石にね。あんなあからさまだと、誰でも気づくよ。ただ、僕が介入した所でエスカレートするだけじゃん?だから、なるべく芽亜里に関わらないようにしてるんだ。ヴァンパイアってバレるのも困るし、イジメがこれ以上悪化するのも避けたいしね」
凪の説明に私は小さくため息をつく。
彼の気持ちも分からないではないが、きっと芽亜里ちゃんは…。
「…芽亜里ちゃん、可愛そうなんかじゃないと思います。だって、"私のお兄ちゃんを紹介したい"って…私に嬉しそうに話してくれましたもん」