ヴァンパイアな彼等
「でも、凪くんが私に迷惑かけるって言ってたことに対しては、言わせてもらうね。柚葉ちゃんの言う通り…私、ちゃんと凪くんのこと良いお兄ちゃんだと思ってる。それに周りは関係ないよ。だって私達、家族だもん」
凪に向かって、そう言ってのけた芽亜里ちゃんは、心なしかなんだかスッキリとした表情をしていた。
きっと、彼女自身もこれまで色々言いたいことを我慢していたのかもしれない。
「…芽亜里…ゴメン、僕…」
申し訳なさそうに俯く凪に対して、芽亜里ちゃんはフルフルと横に首を振った。
「ううん、私の方こそ…もっと早く凪くんと話せばよかった。これからはもっと、普通に…兄妹として仲良くしていきたいな」
コクリと小さく凪が頷いたのを見て、私はホッと胸を撫で下ろす。
よかった…。
だって、お互いちゃんと大事に思ってるのに伝わらないのって悲しいもの。
そう思った矢先、私はあることを思い出して、ハッとした。
「…あのさ、芽亜里ちゃん、私と先輩の会話どこから聞いてたの…?」
確か、凪が"ヴァンパイア"だと言うことは、芽亜里ちゃんには秘密だと言ってたけど…さっきまで普通に話題に出していたし…。
「えっと…柚葉ちゃんが凪くんに、"芽亜里ちゃんは藤峰先輩のこと、ちゃんとお兄ちゃんって思ってる"…ってところあたりかな?」