ヴァンパイアな彼等
「あぁ…翔月くんはちょっと今週忙しいみたいでさ〜。来週からはまた来ると思うし気にしなくて大丈夫」
そう言いつつも、一瞬、凪の視線が泳いだのを私は見逃さなかった。
素直な芽亜里ちゃんは「そうなんだ、翔月くんも大変だね〜」と言葉を紡いでいるが、違和感を抱いた私が「何が忙しいの?」と口を開こうとした時。
「凪、そろそろ教室戻らないとホームルーム始まる」
そう声をかけたのは笑顔の怜也だった。
「そ、そうだね!そろそろ僕達教室戻らないと…じゃあ、2人ともまた昼休み!」
凪も彼に合わせて席を立つ。
結局、2人が帰ってしまって、その話題は有耶無耶になってしまった。
なんか変ね…。
まるで、わざと話題に出さないようにする2人の態度に私は内心首をひねる。
でも、2人が話したくないのを無理に聞くのも良くないし…。来週には来るって言ってるからそこまで心配することじゃないのかも。
自分の中で、そう結論づけ、私はそれ以上深掘りをしないようにと心に決めた。
――しかし、その日の放課後。
私は烏丸先輩が顔を見せない理由を突如として、知ることになる――。