ヴァンパイアな彼等
放課後。
いつもなら、芽亜里ちゃんか弟の冬夜と帰るのだけど、今日に限って2人とも委員会で遅くなるからと私は珍しく1人で帰路についていた。
時刻は16時半。
学校のグラウンドからは、部活生の元気な声が聞こえてくる。
私の家は学校からもわりと近いため、登下校は基本徒歩だ。
雨の日はバスも使ったりするけどね。
校舎から正門に向かう途中、テクテクと歩く私の背後から「ちょっと…東雲さん!」そう名前を呼ぶ声が聞こえ、反射的にくるりと振り返った。
そこにいたのは…。
「…北澤さん?」
そう、クラスメイトの北澤愛衣とその取巻き数名。
芽亜里ちゃんに対して嫌がらせをしていた彼女たちも、最近、藤峰先輩と彼女の仲良さげ様子を見てからは、鳴りを潜めていたというのに…。
「何か用事?」
ニコッと笑顔で問いかけると、ギロッと睨みつけてきた北澤さんとその他数名に、内心ため息をつきそうになる。
「東雲さん、最近調子にのってない?」
「藤峰さんと仲良くしてるからって、凪先輩と怜也先輩にまでちょっかいかけて…」