ヴァンパイアな彼等
3人のヴァンパイア
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「おい…お前、何者だ?」
興味深そうに尋ねる彼は綺麗な漆黒の瞳をスッと細めた。
嘘でしょ。こんなの聞いてない…。
「へぇ〜可愛い顔してるね!それになんだか…すっごく美味しそうな匂い…」
漆黒の彼の右側に立つ金髪碧眼の少年がおもむろに口を開いたかと思えば、ペロッと舌舐めずりをする。
「人間…?いや、彼女は少し違うな…」
最後に、左側に佇んでいた灰色の瞳の美青年が思案するようにポツリと呟いた。
なんで…人間の学校に彼等がいるの…?
ジロジロと私を見つめる3人の綺麗な瞳に気おされて、私はゴクリと息を呑む。
「……っ」
ジリジリと後ずさりながら、少しずつ距離をとる私。
「…それで、お前名前は…?」
ビクッ。
最初に尋ねてきた漆黒の彼が、私をジッと見据えて問いかけてくる。
漆黒だったはずの彼の瞳が一瞬、紅く光ったような気がして私はビクッと身を震わせたのだった――。
♢◆♢◆♢◆♢
この状況に陥るきっかけは、ちょっとした行き違いから。
そう、時は少し前に遡る――。