ヴァンパイアな彼等
「あ、でも。藤峰先輩は特にNVが珍しいからか、必要以上に距離が近かったり…触ってきたり…ちょっかいかけてくるのは迷惑ですね…」と、私がそう付け加えた途端。
なぜか若干、翔月の表情が不機嫌そうになったのを私は見逃さなかった。
あれ…?何か怒ってる…??
「柚葉…傷、治してやろうか?」
「…え?」
そう彼が口を開いた瞬間、突然、綺麗な顔が近づいてきて…。
「…ッ!?」
チュッと私の頬に軽くキスを落としたものだから、ブワッと頬が赤く染まる。
「半純血でも、このくらいは治せるからな…じゃ、ごちそうさま」
ペロッと舌を出し、それだけ言い残すと戸惑う私に向かって満足そうな笑みを残し、保健室を後にしたのだった。
翔月が出ていった後、1人残された私は、未だにキスされた頬を押さえ呆然とする。
確かに、ヴァンパイアには治癒能力があって小さな傷なら治せちゃうけど…不意打ちすぎるよ…。
今まで感じたことのないくらいドキドキと高鳴る鼓動。
…ダメだ、前言撤回。
やっぱり、危険かもしれない…。
そう考えて、私は小さく肩を落としたのだった――。
♢◆END◆♢