ヴァンパイアな彼等
翔月side
♢◆♢
俺、烏丸翔月は、純血のヴァンパイア家系であり、序列1位の烏丸家次期当主として生を受けた。
母は俺を産んだ際に、体力が持たず息を引き取ったらしいと、物心ついた頃になんとなく気づいた。
ただ、母の話題はなんだか触れてはいけないような雰囲気で…俺からは詳しく父にも、他の親族にも聞くことができないでいた。
そんな最中、自分が半純血(Harp Vampire)であると知ったのは、亡くなった母親の生い立ちを父から聞かされた時。
羽南学園への入学を控えた6歳の頃だった――。
『いいか、翔月…お前には半分人間の血が流れている。けどな、それでもお前は誰よりも強いヴァンパイアになれると信じているし、俺も、次期当主はお前にしか譲る気はない。ただ、半純血であることは…時がくるまでは隠しておかねばならない…それがお前を守るためなんだ』
そう言った父はどことなく儚げに見えて、俺はその表情が未だに忘れられない。
ただ、父のおかげで不自由することはなかったし。
羽南学園初等部に入学したことで凪や怜也とも出会い、俺の世界は広がっていった。
中等部でも2人のおかげで、中々楽しい学生生活を過ごせたし、この頃"半純血"であることを打ち明けたのだが…。
『まぁ、翔月くんは翔月くんだしね』
『あぁ。今さら関係ないな』
と、言ってくれた2人に俺は心底感謝したのを覚えている。